アメリカ麻酔科専門医試験口頭試問その1 本番の時間構成について

アメリカでの麻酔科レジデント、フェローと5年間のトレーニングを終え、それに付随する試験もすべて終わったので、ここに記録がてら書いていこうと思います。

一番みなさんが受けるうえで気になるであろう

SOE (Standardized Oral Examination)、いわゆるオーラルボードについて

自分がどのような勉強をしたのか、どういう対策がどこまで必要と考えられるのか、あとは問題は流出しないけど、これを読んだらだいたいどんな感じの問題が出て、どういうことが聞かれるのかを書いていこうかなと思います。

試験の問題文がどんな感じかに関してはこちらをご覧ください。
ABAが出しているSample問題です。

リンクが切れたり、外部ページを見たくない人のために後半にスクショできりはりしているのでそちらも見てください。同じ問題です。

https://www.theaba.org/wp-content/uploads/2022/12/SOE_Questions.pdf

当然ながら解説は用意されていません。
本番の試験の時間構成をいうと、(問題回答時間)35分のセッションが2個です。
ただしこれに加え、ステムというすでに与えられた患者情報を読む時間が、各大問ごとに少しだけ違います。
一つ目はロングステム
二つ目はショートステム
と呼ばれていて、それぞれ前振りの問題文の長さが違います。
ロングステムは、患者の術前の情報や、すでに行われた術前検査などが含まれており、
15分!!も読む時間が与えられます。
ショートステムは10分間ステムを読む時間が与えられ、患者の年齢、体重、身長、性別や現病歴、既往歴、とどんな手術をするかと少しの検査結果だけが与えられます。
それぞれ実際になにを聞かれるのかは、ステムを読んでいる準備時間にはわかりませんが、大事な準備時間となります。
なので大まかにいえば、
15分:ロングステムの問題を読み、聞かれることを予想して回答を準備する時間。紙にメモれる

35分:別室で試験官2人と質疑応答

部屋に戻る
10分:ショートステムで問題読み読み
35分:別室で試験官2人と質疑応答
これがSOEの流れです。
さらにややこしいのが、この2回ある35分のセッションのうち最後の10分間は、Additional questions(別名Grab Bag)といって、ステムとはまったく関係のない問題が3つ出されて答えさせられます。
なので実質、ステムに関して答えるのはそれぞれ25分となります。
ロングステムの患者は術前検査が済んだ状態、試験を受ける側も結果を知っている状態から、
術中のシナリオから始まります。
術中の麻酔に関する質問が10分、
術後の麻酔に関する質問が15分、
その患者の顛末がリアルタイムで追加の情報として与えられ、答えていきます。
そのあとGrab Bagが10分。
ショートステムは情報が最低限なので、
術前に関する質疑応答に10分、
大抵はどんな検査をしたいとか、この患者について懸念する点はなにか、から始まります。
その後、術中のことについて15分聞かれます。
そしてGrab Bag × 3が10分。
まとめると、

15分問題文を読む

小部屋に行く
10分:術中の話


15分:術後の話


10分:関係ない症例3つの質疑

自分の持ち場に帰る (SOEの半分おわり)

すかさず帰ると次の問題がクリップボードにおいてある

10分:問題読む


別の小部屋に行く
10分:術前の検査や懸念を質疑


15分:術中の質疑


10分:Grab Bag


終わり
となります。
手前味噌ですが、集中していると体感時間は一瞬です。

おそらくですが、サンプルで示した質問よりも多くの質問が想定されており、テンポよくどんどんと質問されていきます。試験官側で「必ずこの流れの症例で、この質問は聞かないといけない」というのが決まっていると言われています。
試験官らは現役の麻酔科医で、うまく受験者がすべての質問に答える機会を35分以内に作れるように、全体の流れを事細かに覚えています。そのため、回答者が変な道に脱線しようものなら、すぐに遮って次の質問をしていきます。
それでもやはり人間同士のやり取りなので、最後のAdditional(Grab Bag)に答えている途中でベルが鳴り、終了というのも結構ある話ですし、自分も体験しました(それでも合格はできます)。
また厄介なことに、正解にすぐ辿り着けば着くほど、追加で質問をされることもあるということです。
つまり、一問一答的な正解がある程度あって、仮に高速で話して答えられる受験者がいたとして、その人が35分よりも遥か前に終わってその場を去ってしまうことがないように(?)、もしくは最大限の時間を使ってその人を評価できるように、マニアックな質問まで用意されていたりします。
「こんなの誰が知ってるの?!」というような質問をされることもありますが、それはあなたが定番の問題に守備よく答えられていることの裏返し(上のレベルの質問に移行した証拠)だと言われています。……が、本人は内心気が気ではないですよね。
そんなわけで、たいていの受験者が試験後に「自分は落ちた」と思って会場から出てくる、という事態が起こります。
ひとまず今回はサクッと概要だけですが、次は対策について書ければなと思います。
読んでいただきありがとうございました。

*まず今回はSOEについて扱いますが、OSCEという試験も同じ日にさせられます。

そちらでは模擬患者にエコー当てたり、模擬患者に術後合併症の話をしたり、外科医に謝ったり、なぜかQIプロジェクトのやり方を深く知らない人に説明したりする試験で、対策時間としては比較的短期で合格できる人が多いと思うので、別の機会があれば、まとめたいかと思います。

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