知らなかった!!京大医学部卒医師が教えるブランド大学病院の研修医が外部生である真相

この記事はこんな方におすすめ!!

  • 一般の方
  • 医学生
  • ご家族に医学部がいらっしゃる方
  • 婚活で研修医を狙っている方

最近は研修医youtuberなんて方もいらっしゃるそうで。

今回は研修医はどうやって自分の研修先を選ぶのかと大学病院にはどんな人がいるのかを解説しています。意外と色々な出身大学の人がいるので、大学病院を選ぶ際には参考にしてください。

前提

出身大学と医師の能力は関係ない

まず始めに断りをいれますが、出身大学がどこであるかと医師個人の能力には相関はありません。

ですので、このタイトルでブランド病院の研修医が外部生だからと言って、それがその病院の総合的な臨床に関係することはないと考えてください。

また、医師個々人にはそれぞれ得意な分野、言い換えれば専門性があります。

研修医はその方向性を模索している最中ですので、様々な病院にいますが、彼ら彼女らはそのような目的(あとは厚生労働省が決めたルールに従い)卒後臨床研修をしています。

研修医とは医師であって医師の卵ではない

研修医は医学部6年間の末に国家試験に合格した医師に課せられる2年間の研修です。

この間はスーパーローテートと言って様々な診療科を1−2ヶ月単位で周り、医師チームの一番若手として診療に当たります。

研修病院の決め方

では研修病院はどのように決めるのでしょう。

これは医学部6年最終学年の時にマッチングという制度で学生が主体になって決める事ができます。

マッチングというとお見合いアプリみたいですが、医学生は自分の希望するだけの病院(プログラムという単位でわかれています)の希望順位をつけることができます。

極端にいうと縁もゆかりもない北海道の学生が沖縄の病院を希望することもできます。

ただし、病院側も同じように応募してきた学生をランク付けすることができて、お互いのその順位を伏せたまま、Match dayという1日にコンピューターで最大多数の幸福になるように割り振っていきます。

基本的に学生は自分の希望通りの病院にいけるように設計されています。

というか自分の希望の順位が低い所をあえて上位に書いても意味がない制度になっています。

このアルゴリズムはゲーム理論によるものでアメリカの研修医プログラムが導入し、その後日本もそれにならっています。

ノーベル賞のアイデアということらしいです。本当に。

脱線しましたが、なんの関係もない病院に志願書を出すこともできますが、多くの病院はマッチデイの前に面接試験や独自の筆記試験、書類選考をするところもあります。

いよいよ本題に入れそうです。

市中 vs 大学病院 どちらが人気か?

初期研修医として働ける病院の可能性はどこでも選べるといいましたが、同時に選考過程があるといいましたよね?

ということは競争が発生するということです。

ごく簡単に言って、4つに分類してみましょう

  • 自分の出身の大学病院
  • その他の大学病院
  • 出身大学の関連の市中病院
  • 関連病院ではない市中病院

ちなみに自分の親が開業して院長をしているクリニックなんかはプログラムとして認定されていることはまずないので、そのような選択肢はありません。

ある程度の研修医と症例数が担保される病院がプログラムとして認められています。

自分の出身の大学病院

これが一番入りやすいです。

なんだかんだで出身大学の学生ということで

試験に下駄を履かせていない

と名言する大学も増えていますが、色々と融通は聞きます。

また例えば他の病院の研修の途中で何かしらの問題が生じて出身大学に途中で戻るといったことも珍しくありません。

大学病院なので業務としてはやや雑用が多目になりますが、自分の出身大学で臨床研修が終わった後も働きたい人(入局ですね)にとっては、知り合いや人脈をかためるチャンスとも言えます。

ここで本題に触れますが、

東大生・慶応生のような有名大学の卒業生は自分大学の病院ですぐには研修しません。

これにはいくつかのり理由があります。

  • どうせ初期研修が終わった後に戻ってこれる
  • 学生の時に実習出回っているのでなんとなくもういい(笑)
  • 大学病院は給料が安い
  • 大学病院は雑用が多い
  • 大学病院では初期研修の権限が少ない

これらには事実と偏見の微妙に入り交ざった部分もありますが、概ね医師全体としてこのような認識はあります。

ここで重要なのは彼らは自分の大学が嫌いとか戻ってくるつもりがないとかというわけでは決してない、ということです。

むしろ初期研修が終わるとすぐに戻ってくる人や数年で戻ってくる人がたくさんいます。

医師の将来を決めるのは初期研修ではなく後期

初期研修が終わると専門科を決め後期研修に突入します。この時に多くの人は自分の生涯(短い人の場合は専門医取るまで)所属する団体(多くは大学かその関連病院)を決めます。

ここで先ほどのブランド大学卒の方たちは初期研修をどこでしていても、後期ですんなり母校に戻ってこれます。

ですのでさきほど言った理由から外の病院で研修をすることが多いんですね。

初期研修は自分の所属を変えるチャンス!

大学病院は初期研修医の採用人数は毎年40−100人と結構数が多いところが多いです。

ですが、前述のように卒業生が外に出ていってしまう病院もすくなくありません。

その空きスペースに入ってくるのが、他の大学出身の研修医です。

これにも理由があります。

  • 他大学で初期研修をしてそのまま後期研修もそこでしたい。
  • 大学病院の方が競争が低いので流れ着いた
  • 大学は地方だったけど実家や地元が都会なので、その近くにいたい
  • なんとなくブランドだから
  • ライフワークバランスの取れた研修を送りたい
  • アカデミックな施設に興味がある

などの理由があります。

他大学で初期研修をしてそのまま後期研修もそこでしたい

これに関しては実は診療科によりますし、年にもよるんですが、

仮にあなたが眼科医になりたかったとします。
眼科医になるには初期研修が終わった後にどこかの病院で眼科医の専門医となるべく研修を受ける必要があります。
自分は神戸生まれ神戸育ちですが、とある遠く離れた場所の大学を卒業する予定です。神戸大学の眼科の後期研修はとても人気で出身大学者以外の戦いは熾烈になりそうです。さあどうしますか?

ということが人気病院(立地だったり評判だったり)の人気の診療科の場合には、初期研修で”潜り込む”ことが戦略として正当化されることがあります。

というわけで双方の需要があって大学病院の初期研修医がモザイク化するのでした。

最後に時事問題

自粛問題の傍ら大学病院の臨床研修医に対して、

〜大学出身の研修医はけしからん

というような世間的お叱りを受けた病院がありましたが、そもそも出身大学と初期研修先は違うことがあって当たり前なのです。

という話でした。

今日の格言

“給料をもらって働く人”と“働いて給料をもらう人”はまったく違う。前者は会社に従属する奴隷に過ぎないが、後者は主体性をもった“個”だ。

松井 道夫(松井証券株式会社社長)

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